Keio BioRobotics Laboratory
(1995年度−2007年度)

触覚研究の概要

ヒトの触覚と皮膚の研究

指紋はなぜあるのだろう? 触覚受容器はなんのために4種類もあるのだろう? これらの疑問を解決するために,ヒトの皮膚の変形と触覚受容機構の関係の解明を行ってきました。具体的には,有限要素法を用いた指の変形解析や,ニューラルネットワークを用いたヒトの触感認識機構のモデリング,多変量解析を用いた触感や触り心地の解析などを行ってきました。

 

人工皮膚の表面にヒトの肌と同様に紋様をつければ,人工皮膚の触感はヒト肌の触感と似るのではないか。このような仮説に基づいて人工皮膚を開発しました。今後は,この人工皮膚をロボットの皮膚として用いたり,人工物の触感の定量的評価に用いる予定です。

 

ヒトと同様な触感を呈する人工皮膚

 

触覚センサの開発

ヒトは上位中枢で「つるつる」「ざらざら」といった触感を認識したり,下位中枢で反射的(無意識的)に把持力を制御したりしており,いずれにも触覚が関与しています。このため,これまでに,ヒトには意識することができない固着・滑り情報を検出する局所滑り覚センサから,ヒトが意識する触感のセンサまで,様々な触覚センサを開発してきました。カーボンマイクロコイルを用いた触覚センサなど,新原理触覚センサの開発も行っています。

 

    前野教授が開発した触覚センサー

 

触覚ディスプレイの開発

遠隔医療,遠隔マニピュレーションからインターネットショッピング,バーチャルペットまで,遠隔ロボットの触覚やバーチャル触覚を呈示する触覚ディスプレイの開発が求められています。このため,本研究室では,超音波振動子の振幅変調を利用した触感ディスプレイ(意識のための触覚ディスプレイ)や,把持力調整反射のための局所滑り覚ディスプレイ(無意識のための触覚ディスプレイ)の研究開発を行っています。


   

超音波振動を用いた触感ディスプレイ          ICPFアクチュエータを用いた局所滑り覚ディスプレイ

 

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